早良の縁側|veranda in sawara

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type          |  bar
location       |  sawara fukuoka
completion  |  under planning
structure      |  wooden
story            |  1
area             | 30㎡
 

日本の伝統建築では、座って何かを眺めるということは重要な意味を持っていた。例えば日本庭園は居間から座って眺めた時に最も綺麗に見えるようにつくられている。

福岡県早良区にある、周囲を山に囲まれた集落に建つ予約制のレストランバーの計画。敷地は坂道の中腹に位置する600㎡ほどの広い敷地で、麓側は見通しが良く、遠くに油山を望むことができる。大きな建物は必要なく、ゆったりとした環境であることから、座って景色を眺める縁側だけがあるような小屋を考えた。また、「座る」という日本の建築で大事にされてきた行為が、日本の伝統をテーマにした施主のイメージともつながると考えた。

建物を敷地の中央に配置し、山側に駐車場を設け、麓側に山を望むことができる庭を確保した。まず6畳分の客席を用意し、並行するように半間分のバーカウンターを付け足した。庭側には天井の高さまである引込み戸を設け、全て開ければ客席と庭をひとつながりに利用することができる。振り返ってバーカウンターには外部のイロハモミジを背景に、窓と一体となった棚を設け、外を向けば庭、振り返ればイロハモミジ、どちらを向いても外への視線が生まれるようにした。また引込み戸は上段を板張りとして視線を遮り、全て閉め切った際には自然と庭の方に視線が向くようにした。素材にはセルフビルドで建てたいという要望から、自分たちで手に入れることができる木や土壁、三和土を選択した。

土壁がむき出しとなった真壁造りの外壁、外構とひとつながりの三和土の土間など、技術が発展し建築に求められる性能が向上した現代では不十分に思えるつくりだろう。しかし、あえて弱く朽ちやすい素材を選び、外部の自然の侵入を拒むように自ら補修取替えを行うことで、常に自然と向き合った生活を送ることができる。近代以降に建築が背負いすぎた機能性能をそぎ落とし、身軽で軽快な建物の立ち姿にあって、自然の一部であった日本の伝統家屋とするという考え方で計画が進められた。

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