ちょっとズレた話 | note architects
2020.06.23
バラバラについて考える

同じものが並ぶ時は、全てのデザインを揃えるのが普通のやり方です。しかし、写真のバルコニー部分の2重サッシは、建具の格子のパターンなどをバラバラにデザインしています。

古民家から頂いた建具を再利用しているので、意匠がバラバラなのは必然なのですが、これはこれでなかなか良いもので、綺麗になり過ぎないのがリノベーションの醍醐味だなと思っています。

建築家が全てイメージ通りに仕上げた、綺麗にまとまっている建築も良いと思います。ただ、完璧な人は近寄りがたいといいますか、美人は3日で飽きると言いますか。ちょっとズレていて、個性がある人も魅力的だなと感じます。

建築を計画しているときは、最初は端正に、無駄なくシンプルにしていきます。しかし途中で綺麗にまとまりすぎて、つまらないなと感じてしまう時があります。そこであえて少しズレをつくったり、外したことをしてみたり。自らそうすることもありますが、お客様の要望や、周辺環境や法律などの外的要因でズレが生じることもあります。

そのズレを個性として受け入れ、建築のチャームポイントまでいかに仕上げるかが、設計者の腕の見せ所だったりします。このようにして生まれたズレが、住む方の自分らしさの表れになっていると良いなと思います。

ryokamamatsu

写真の建物はこちら「塩浜のリノベーション」