足下すくわれた話 | note architects
2020.07.29
足元の話

いつも通っている美容室の鏡は、床まで鏡が延びているタイプです。下の方まで鏡があると、足元が反射して丸見えです。最近お手入れをさぼっていたな、と汚れた靴を眺めていたところ「足元が鏡に映っていると、特に女性のお客さんにとても気を使わせてしまう」と美容師さんがぼやいていました。確かに美容室の鏡は上半身までしかありません。あれは座った人への配慮だったのだと、その時初めて気が付きました。

ものの成り立ちには理由があります。特に長い時間を経たものには、歴史や文化がいくつも重なっています。そうして出来上がった形は、慣習として未来に引き継がれて行きます。あるものはすぐ気付くけど、ない物に気付くのには相当な観察力と、時には知識が必要です。慣習からはずしたデザインをするには、無知でやるのは浅はかだと思っています。かといって慣習に従順になるのも、知性がないように感じます。

背景を理解した上で、計画の諸条件、店舗の方の考え方を踏まえると、今回はこの慣習からずらしたことをしてもよいな、という判断が必要になります。

デザインは決してセンスなどと言った感覚的なものではないです。いろいろ考えています。

ryokamamatsu

守谷の美容室

>写真の建物はこちら「守谷の美容室」