力を抜くことも、時には大事。全てが全力疾走では息切れしてしまう。この考え方が、私の生き方を楽にしてくれました。
住宅を考えるときも、この考え方は大事だと思っています。大事にしたいところ、普通でよいところ。
当然人によって何が大事かは異なってきますので、住む方の価値観に合わせて、どこにコストを掛けるかデザインの強弱をつけることが大事になってきます。
ある部分でコストを下げ、下げた分大事なところに力を注ぐ。この点は満遍なくコストを掛ける建売住宅にはない、建築士とつくる家の特徴だと思います。
さらに新築とは違いリノベーションの場合は、古くなったとはいえとりあえず建物はあらかじめ用意されています。したがって古さを残すという選択をすることができるのです。
古さを残すことでさらにコストが下げられ、よりコストの強弱をつけることができます。
写真の住宅ではリノベーション費用の半分近くをキッチンに掛けています。生活の中でキッチンが一番大事だったからです。その分お風呂とトイレは既存のまま、建具も再利用し間取りもほとんど変更していません。
広い立派なキッチンの裏には、コストの強弱という手を使っていたのです。
ryokamamatsu