典型的なファミリータイプマンションのリノベーション計画。
RC造のマンションの中に入ると、コンクリートで強く規定された空間の存在を、いつも意識してしまう。「キッチンに家族が集まる広い家」という要望からも、家具的なもので場所を配置する操作を試みた。
まず設備配管のない、アイランドカウンターを置き、室内に中心をつくった。壁際にはデスクとひとつながりになったキッチンカウンター、パントリーを並べた。壁際に行為をつくることで、部屋の広さを妨げないようにしている。家具、押入れ、可動間仕切りの高さを梁下に揃え、壁と一体化せずに軽さをだしている。寝室にはホワイトボード塗装したシナ合板を貼り、壁際に遊びが生まれるようにするとともに、天井のコンクリート現しの重さと対比させている。
家具の素材には、DIYでも多用されるシナ合板を採用し、これから持ち込まれる家具と等価な存在になるようにした。
コンクリートの重さ硬さと、家具の軽さ柔らかさを意識的に扱うことで、それぞれ素材本来のあり方で存在する空間となった。
廃材の再利用
部屋を仕切る建具や欄間、2重サッシには近所で解体された住宅の廃材をリメイクし再利用しています。また、玄関の壁や仏間は、現場から出た下地材の廃材を細かく切断し利用し、廃棄物が少なくなるようにしています。
様々な事情で建物が解体される運命にあっても、その中にはまだまだ使用に耐えうる部材が多くあります。それらを廃棄するのではなく、部分的に再利用することで、部材が循環する持続可能な社会となることを目指しました。
2021.4
建築家ポータルサイト「KLASIC」に取材いただきました