奥行きの話 | note architects
2020.06.19
奥行きを考える

壁で仕切らない、空間の仕切り方についてよく考えます。

部屋の途中で床を一段上げる、袖壁を立てる、天井を下げる、などなど。
例えば間に袖壁があることで、こちら側とあちら側という位置関係が生まれて、何となく空間が仕切られているように感じられます。

結局は奥行きをつくる、ということなんだと思います。街中でふと出会う、小さな路地に惹かれることがあります。あれも路地に奥行きがあるから。

私たちはなぜ奥行きに惹かれるのでしょうか。

伝統的な日本家屋は、柱と梁で大きなワンルームをつくり、可動の障子で仕切るだけのとても軽やかな空間です。壁で明確に仕切るという部分は少ないです。

障子を開けても、欄間や片側にまとまった障子で、何となく仕切られた状態だけが残ります。私たちは常に奥行きの中で、生活をしてきたのではないでしょうか。

小津安二郎の映画でも、シーンの端に障子が映っているのが多く見られます。あのシーンも、奥行きを意識してのことなのでしょうか。

ryokamamatsu

>写真の建物はこちら「八雲の集合住宅」