名脇役に思う | note architects
2020.08.06
名脇役に思う

優れた脇役のいる映画は、実に深みがあります。
主役を支え作品に色を添える彼らの存在によって、映画の質感が大きく左右されます。

住宅の脇役は収納や洗面、洗濯場、廊下などでしょうか。
主にその場で過ごすわけではないけど、生活する上ではなくてはならない存在です。
これらの脇役をどう演じさせるかで、ストーリーの性質や展開が大きく変わってくる。
観客(生活者)の深層に語り掛ける、重要な役割だと思っています。

近頃そんな脇役たちの活躍がめざましい。
脇役だと思われていた場所を豊かにすることで、生活にも深みが出てきます。
ウォークインクローゼットなどは代表的な例。収納を一つの部屋にまで拡充させることで、物にあふれた生活から解放してくれます。

あまり目立たないからこそ、メインではないからこそ、その場を豊かにしてあげると、生活のより深くを彩ってくれます。
あまり意識していないところで脇役がいい演技をしていれば、
なんか良い、という瞬間にふと出会えるかもしれません。

長い時間を過ごす住宅では、その感覚がとても大事なのではないでしょうか。
広々とした玄関土間や、洗濯物をそのまま干せる窓のあるランドリーなど。
住宅には、まだまだ色んなバリエーションがあり得ます。

名脇役たちがその時にポイントになってくるのだと思います。

ryokamamatsu

塩浜のリノベーション