こんな話しを聞いたことがあります。
小さな国の戦国武将が大国に戦を仕掛けられたら、どうするでしょうか。
生き延びる国の武将は、いかに戦わないかを考えます。
正々堂々と戦っても国が亡びるのが分かっているからです。
まさに逃げるが勝ちです。
逃げるが勝ち、を建築に応用するとどうなるでしょうか。
異なる素材や部材がぶつかる場所を、いかに綺麗に納めるか、ディテールを考えながら設計を進めていきますが、そもそも部材が出会わないようにするのも一つの手だったりします。
部材が一ヶ所に集まらないように、別の場所に逃がしてあげたり、
また、部材に機能や法律を背負わせて、無骨に複雑になるのを避けるため、表に見える部材には機能を負わせず、見えない奥の部分で処理するなど。
まさに逃げるが勝ちなのです。
正々堂々とディテールで処理しようとすると、逆のその部分が主張し目立ちすぎてしまいます。
苦悩の跡が残っているディテールは美しくありません。
木の壁とフローリングの床を、ぴったりと合わせるのは非常に精度が必要です。
仮にぴったりできたとしても、乾燥収縮で時間が経つと隙間が広がったりします。
そんな時は最初からわずかな隙間をとることで、施工もしやするなるし部材が動いても隙間が目立ちません。
このような納め方を「逃げ」と言ったりします。
勝てない勝負は、始めから逃げるが勝ちです
ryokamamatsu