℗Photography by Maki Hayashida
日々あふれる情報から身を隠し、街の環境そのものと見つめあう、野点のために作られた茶室。和紙をナイロンテグスに吊り下げただけの、簡易的な茶室である。
和紙は両手で抱えられるだけの重さしかなく、ナイロンテグス1本で20m近くのスパンを飛ばすことができる。さらに素手で揉み加工を施すことで、風を柔らかく受け流すようになった。仕入れた和紙の状態では、風をまともに受け破れてしまう。柔らかさを得ることで風と対峙しない強さを持つことができた。
川辺に設置された和紙は風を可視化し、俗世から切り離された、空と川と風と茶だけがある世界を与えてくれる。
悲しみや怒り、嫉妬や絶望などの感情を、時には受け流す、柔らかい強さを持てと教えてくれた気がした。
この茶室は”街を巡る”アートプロジェクト 本と川と街のプログラムとして出展いたしました