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bonnie coffee stand ボニーコーヒースタンド

 

℗Photography by maki hayashida

 

建物に挟まれた、あまり使われていないデッドスペースを、コーヒースタンドとして利用するプロジェクトです。
近所に店を構えるコーヒー店主が、平日限定でカフェを開きます。

スタンドで使用するモバイル屋台は、コストをかけずにDIYでつくることにしました。精度を要求しない構法とするため、角材と合板で17つのパネルを作り、それらを組み立てる構法を考えました。パネル化することで、軸組構法のような特殊な加工や精度を求める必要がなくなります。さらに合板だけで組み立てる場合に比べて軽量化とコストダウンを図ることができます。
1杯のコーヒーを淹れるのには多くの道具が必要です。道具を毎日出し入れする煩雑さを解消するために、屋台全体を収納として使えるよう考えました。カウンターと屋根を開閉できるようにし、閉店後は道具をそのままの状態にできるようにしています。

これらの機構は福岡の屋台の構造からヒントを得ています。開店と共に現れ、閉店すると道具を全て持ったままいなくなる。ポータブルであることが屋台の特徴であるように思います。

オープンに向けては建築基準法、食品衛生法の両方をクリアする必要がありました。
デッキの一部を屋内化すると、建築基準法上は増築となります。そのため、手続きが煩雑な確認申請が必要です。一方移動販売という業態にすれば、確認申請が不要となりますが、移動販売ができる食品が限られているため、営業許可が下りません。そこで相反する2つのルールをクリアするために、法に新しい解釈を加えました。移動販売できる食品に付属するものとして、コーヒーを提供しています。

利活用が圧倒的に少ない日本の公共スペースでは、ルールに新しい解釈を加え、ルールを乗り越えていくことが必要ではないでしょうか。それはルールを真面目に守るでも、逸脱するでもない。正当な手続きを踏みつつ、新たな解釈により既定のルールを越え、新しい仕組みを作っていくことが、公共スペースの利活用を促進させると考えています。

2018.11
World Architecture Communityに掲載されました。

2019.8
FoodInteractions Catalogueに掲載されました。

type coffee stand
location shirakawa koto 
completion 2019.6
structure wooden
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