℗Photography by Hiroki Kawata
東東京のマンションリノベーションである。
コンパクトに住みながらも、日当たりや風通しなどの自然と触れ合える住環境で、家族の気配が感じられる開かれた生活が望まれた。
既存の田の字型プランを受け継ぎ、造作柱を中心にガラス戸や床仕上げの切替えなど半透明な境界で領域を分けている。
界壁に沿ったカウンターは、矢印のように意識を外側に向かわせる。光のグラデーションに合わせて活動が変化するように、カウンターの高さや設備を整えた。良質な光が差し込むバルコニー側は、静かに憩う縁側のような空気が生まれている。
和紙貼りの壁やキッチンのタイル、柿渋塗りのラワンなど、微細な凹凸を持った素材が、光の質感を伝えてくれる。
玄関や洗面からバルコニーを見通せる窓を開け、どこにいても外部が隣にいてくれる状態をつくった。
都心の抽象化した自然を確実にとらえ、人間との新しい関係を再構築した。
季節の移ろいと共に生活が営まれる小さな住宅。
2024.6.24
Architecturephotoに掲載されました。