℗Photography by Akira Nakamura
オフィス勤務からテレワーク中心の働き方にシフトし、自宅1階の倉庫として使用していた場所を、スモールオフィスに改修するプロジェクトです。働くだけでなく、ミーティングやパーティーを行えるように、様々な用途が混在している場所が求められました。
機能的な「可変性」は伽藍堂の空間に委ね、相反する要素を並列することで、住宅でも仕事場でも店舗でもない、どちらともとれない曖昧な場所をつくっています。多様な過ごし方を受け入れる自由なスペースを目指しました。
壁は外装材の金属板と内装材のフレキシブルボードで仕上げ、既存躯体の空気感を増幅しました。一方で人の手が触れる家具は、木製置き家具とし、躯体の冷たさとのバランスをとっています。水周りを正面に構え、オフィスだけでなく将来のテナントに貸出せるつくりにしています。
外部との境界にあたる建具は木製ガラス戸とし、グレーの室内に外観のプロバンスな雰囲気を引込みました。
もし住宅「らしい」場所では住宅「らしい」過ごし方を、と自然と身体が反応するのであれば、住宅「らしさ」やオフィス「らしさ」、内部「らしさ」、木質空間「らしさ」などあらゆる「らしさ」を消すことで、身体的な自由を得られるのではと考えました。
ステイホームの呼びかけにより、暮らす場所だった住宅に、新しく「働く」と「遊ぶ」が追加されました。特に場所が限られている都市型住宅では、その用途を抱えきれなくなっています。
様々な「らしさ」とも距離を保つこの場所が、コロナ後の新しいスタンダードになることを願っています。
